ミュートカラーと量産型・地雷系の決定的な違い|「静かな夢」と「叫びのブラックとピンク」

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最近、SNSや街中でよく見かける「くすんだピンク」や「柔らかなグレー」。 これらを上品に着こなす「ミュートカラー・コーデ」と、リボンやフリルをあしらった「量産型・地雷系ファッション」。

パッと見の色のトーンは似ているのに、なぜか受ける印象は全く違います。また、「ミュートカラーは似合わないけれど、地雷系のくすみピンクならしっくりくる」という不思議な現象も起こります。

今回は、エシカルな美学を大切にするライターの視点で、これら二つのスタイルの決定的な違いを紐解きます。そこには、単なるデザインの差を超えた「光と影の扱い方」の秘密がありました。


そもそも、それぞれの言葉が指すものは?

まずは初見の方のために、それぞれのスタイルの定義を整理しましょう。

ミュートカラー(Muted Color)

原色にグレーを混ぜたような、彩度の低い色のこと。「くすみカラー」や「ニュアンスカラー」とも呼ばれます。派手さを抑えた、穏やかで知的な印象を与えます。

量産型(りょうさんがた)

「推し活」を楽しむ女性に多い、ピンクと白を基調としたガーリーなスタイル。お揃いのコーディネートを楽しむ文化から「量産型」と呼ばれますが、実際には非常に手の込んだ、甘く可愛らしい世界観です。

地雷系(じらいけい)

黒をベースに、くすんだピンクやパープル、シルバーを合わせるスタイル。病み可愛い(病んでいる+可愛い)と表現されることも多く、フリルやリボンを使いつつも、どこか毒っけや強さを感じさせるのが特徴です。ニティにおいて「私はここ(この属性)にいる」と叫ぶための戦闘服に近いエネルギーを持っています。


独自の美学:ミュートカラーを象徴する造語「静夢(しずかゆめ)」

ここで、私が提唱するミュートカラーの真髄を表す言葉を紹介させてください。それは「静夢(しずかゆめ)」という概念です。

【静夢:しずかゆめ】

かつての染物職人が、鮮やかすぎる布を灰汁で洗い、色の熱を冷ました際、その穏やかな色調を「色が深い眠りの中で夢を見ているようだ」と表現したことから生まれた言葉。

自分の存在を消すのではなく、周囲の景色と溶け合いながら、内面の静寂を大切にする。そんな「調和の美学」を指します。

決定的な3つの違い

では、本題である「ミュートカラー(静夢)」と「量産型・地雷系」の違いを、3つの視点から比較してみましょう。

「コントラスト」の有無

コントラストが最も大きな違いです。ミュートカラーでは「ベージュ × グレージュ」のように、色の境目を曖昧にするグラデーションを楽しみます。全身を同じトーンで包み込み、優しい空気感を作ります。

対する量産型・地雷系では、くすんだピンクに対して、必ず「真っ黒」や「真っ白」をぶつけます。黒いリボン、白いレース。この強いコントラストが、顔立ちをくっきりと強調します。

ミュートカラーが似合わない(顔がぼやける)と感じる人が、地雷系ファッションなら似合う理由はここにあります。黒という「強い縁取り」があることで、くすみカラーの弱さがカバーされるのです。

「質感」が放つエネルギー

服の素材選びにも、真逆の思想が流れています。 リネン、ウール、オーガニックコットンといった、光を吸収する「マットな天然素材」を好むのがミュートカラー。これは、ありのままの自分を受け入れるエシカルな姿勢にも通じます。

一方で量産型・地雷系とは、サテンの光沢、エナメルの靴、ポリエステルタフタのハリ感。「人工的なツヤ」を多用します。これにより、現実離れしたお人形のような「作り込まれた美」が完成します。

「視線」の向き

その装いは、誰のためにあるのでしょうか。地雷系にとっての視線は「特定の対象」に向いています。推しへの愛、あるいは自分のアイデンティティの表明。それは、静寂ではなく、色を使った「ポジティブな叫び」なのです。

しかしミュートカラーは「自分の内面」に向いています。自分が心地よく、穏やかでいられるための服。いわば、自分を癒すための「静夢」の空間です。

ミュートカラーと地雷系の比較まとめ表

項目ミュートカラー(静夢)量産型・地雷系
色の主役曖昧なくすみカラーくすみカラー + 漆黒・純白
配色技法グラデーション(調和)コントラスト(強調)
得意な素材コットン、リネン(天然・マット)サテン、エナメル(人工・光沢)
与える印象自立、穏やか、洗練献身、自己表明、ドラマチック
美学の核自然体であること理想を構築すること

自分らしく「色」を選ぶために

「流行のミュートカラーを着てみたけれど、なんだか地味で老けて見える……」 そう感じたなら、あなたは「静夢」の住人ではなく、もっとコントラストと光沢を必要とする「光り輝く個性」の持ち主なのかもしれません。

そんな時は、無理に全身をミュートカラーでまとめる必要はありません。量産型・地雷系のテクニックを借りて「くすみカラーを黒で引き締める」だけで、あなたの肌の透明感は見違えるほど蘇ります。

エシカルにファッションを楽しむということは、自分を流行の型にハメることではありません。自分の個性が、どの色の温度感で一番心地よく呼吸できるかを知ることなのです。

まとめ:あなたの物語を彩る色

「静夢(しずかゆめ)」という穏やかな世界も、コントラストの効いたドラマチックな世界も、どちらも素晴らしい自己表現です。

大切なのは、その色が自分の心とリンクしているかどうか。 もしあなたが今、少し疲れていて休息を求めているなら「静夢」を。 もし、自分の存在を世界に強く刻みたいなら「叫びのピンク」を。

その日の心のバイブスに合わせて、色を使い分けてみませんか?

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この記事を書いた人
calm-minute

管理人の名前は無鳴クモ。言葉の調律師。600ページの『造語辞典』を編纂。既存の言葉ではこぼれ落ちてしまう繊細な情動に名前をつけ、それを「鏡の中の自分」として具現化するための術(コスメ・美容)を提案する。1.6万人のフォロワーと共に、新しい美の言語を探求中。

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